屋根塗装が要る屋根・要らない屋根|屋根材ごとの劣化と塗装の注意点

屋根塗装は、どの屋根にも要る工事ではありません。
表面が塗膜で守られている屋根材(化粧スレート・金属板・セメント瓦)は塗膜が傷んだら塗り直しますが、
焼き物の粘土瓦は、国の研究機関の資料でも経年劣化として塗膜の傷みが挙げられていません。
このページでは、国土技術政策総合研究所(国総研)がまとめた木造住宅の屋根のメンテナンスガイドラインをもとに、
屋根材ごとに「塗装で手当てする劣化」と「塗装では直らない劣化」を分けて整理します。

まず、自分の家の屋根材を確かめる

屋根材によって、塗装が要るかどうかがまず分かれます。
新築時の図面・仕様書や、家を建てた住宅会社の資料に屋根材の名前が書かれています。

  • 粘土瓦(いわゆる日本瓦・陶器瓦)… 粘土を焼いて作る瓦
  • 化粧スレート … セメントなどを板状に成形し、表面を化粧加工した薄い屋根材(平形・波形)
  • 金属板 … ガルバリウム鋼板などの塗装された鋼板
  • プレスセメント瓦 … モルタルを型でプレス成型し、表面を塗料で処理した瓦(かつては厚形スレートとも呼ばれた)

粘土瓦は、塗装ではなく「ずれ・漆喰・下地」を見る

国総研の資料が粘土瓦の経年劣化として挙げているのは、次のようなものです。塗膜の劣化は挙げられていません。

  • 地震や台風の後の瓦のずれ・浮き・脱落(瓦を留める金物の腐食が原因になることもある)
  • 瓦のひび割れ・凍害(約40年以上前に施工された焼成温度の低い瓦に多く、近年の製品ではほぼ見られないとされています)
  • 棟の漆喰(しっくい)の剥がれ。剥がれると中の土が流れ出し、棟瓦のずれ・落下につながるため、早めの交換工事が要るとされています
  • 長く続いた雨漏れによる野地板(屋根の下地の板)の腐朽

粘土瓦の屋根で「塗装しましょう」と勧められたときは、何のための塗装なのかを確かめてください。

化粧スレートは、10年前後から色あせが目に見えてくる

国総研の資料では、化粧スレートはおよそ10年くらいから退色が目で分かるようになり、
その後に塗膜が無くなると本体が水を吸い、反り・割れ・こけの発生から雨漏れの原因になるとして、
スレート専用の塗装工事を勧めています。

塗るときは「縁切り」がされるかを確かめる

化粧スレートは板を重ねて葺いています。
同じ資料は、重なり目(目地)に入った塗料を取り除く「縁切り」をきちんと行わないと、
すき間に入った雨水が抜けずに雨漏れを起こすことがある
と注意しています。
見積書や工事の説明で、縁切りをどう行うかが書かれているかを見てください。

塗装で防水性能は戻らない

もう一つ大事なのは、塗装は塗膜の保護と見た目の回復にはなるが、防水性能の改善にはならないという点です。
屋根の防水を担っているのはスレートの下に敷かれた防水紙(下葺材)で、その傷みは表面からは分かりません。
雨漏れの症状がある場合は、小屋裏の点検口から野地板を確かめ、
葺き替えで防水紙を交換する工事になると同資料は説明しています。
雨漏れしている屋根を塗装だけで済ませる提案には注意してください。

金属板の屋根は、さびの手当てをしてから塗る

国総研の資料では、一般的に使われるガルバリウム鋼板は10年以降から変色・塗膜の消失・赤さびといった劣化が見られるとしています。
軽いうちなら、さび止めで補修してから塗装する工事になります。
ただし、銅板のように材質によっては塗膜がすぐ剥がれるものもあるので注意が要る、とも書かれています。

プレスセメント瓦は、下地の層に合った塗料かを確かめる

プレスセメント瓦は粘土瓦と違い、表面が塗料で覆われた製品です。
国総研の資料では約10年後から退色・こけ・塗膜の剥がれが見られ、再塗装で塗膜を守る工事が要るとしています。
一方で、表面の下に「スラリー層」という層を持つ製品があり、
塗料がセメントの基材まで染み込まずにすぐ剥がれることがあるため、
塗装前の下地処理の材料をよく調べて選ぶ必要がある、と注意しています。

突然の「屋根を点検します」には応じない

屋根は住んでいる人が自分で確かめられない場所なので、訪問販売のトラブルが多い工事です。
国民生活センターは2023年10月に、屋根工事の点検商法の相談が2022年度に2,885件と、2018年度(923件)の約3倍に増えたこと、
契約した人の8割超が60歳以上であることを公表しています。
「近所で工事をしている」「瓦がずれているのが見えた」と突然訪ねてきて点検し、
不安をあおって契約させる手口です。

同センターは、突然訪問してきた業者に安易に点検させないこと、すぐに契約しないこと、
保険金が使えるという話に気をつけることを呼びかけています。
断り方とクーリング・オフの手順は外壁塗装・屋根工事の訪問販売の断り方にまとめています。

屋根の状態と工事の範囲は、見積もりで確かめる

屋根は自分で上って確かめられない場所です。塗装で足りるのか、葺き替えなど別の工事が要るのかは、複数の業者に見てもらい、見積書の工事内容を見比べて判断してください。外壁も塗る時期が近いなら、屋根と外壁を同じ見積書に並べてもらうと、足場をどう扱っているかも比べられます。

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いずれのサービスも、申し込みのあとに電話でのヒアリングがあります。見積書の内訳の読み方は地域別の外壁塗装ガイドにまとめています。

屋根塗装と助成金

当サイトの外壁塗装の助成金・補助金がある自治体一覧は、
外壁の塗装・改修が補助の対象かどうかで全国の制度を調べたもので、屋根が対象に含まれるかどうかは調べていません。
屋根の工事に使えるかは、制度ごとに公式ページか担当窓口で確かめてください。
多くの制度は工事の契約前の申請が必要です。

このページの出典

いずれも2026年10月20日確認。屋根の状態は立地・施工・製品によって違い、ここに書いた年数は目安です。

当サイトは自治体・塗装業者の公式サイトではなく、公表されている情報をもとに第三者がまとめた情報サイトです。見積もり・工事は施工業者へ、助成金の申請は各自治体の担当窓口へお問い合わせください。

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