「外壁塗装の相場」を調べても、公的機関が集計した相場表は存在しません。このページでは相場表を作るかわりに、国と日本銀行が毎月公表している指数で、外壁塗装の工事費と材料費がこの5年でどれだけ上がったかを示します。よそで見た相場表をそのまま当てにしてよいかどうかを、自分で判断できるようにするためです。
公的に集計された「外壁塗装の相場表」は無い
検索して出てくる「30坪で◯◯万円」「シリコンで◯◯万円」という表は、いずれも民間の会社が自社で扱った工事を集計したものです。どの地域の、どんな状態の家を、何件集めたのかは表ごとに違います。そのため同じ「30坪」でも、サイトによって金額が大きく食い違います。
国が毎月公表しているのは、価格そのものではなく「価格がどれだけ動いたか」を表す指数です。外壁塗装の工事単価を継続して集計した公的な統計は、当サイトが探した範囲では見つかりませんでした。だから当サイトも独自の相場表は作りません。
そのかわり、この指数からは「何年前の相場表を見ているかで、判断がどれだけずれるか」が分かります。以下は国土交通省と日本銀行の公表値をそのまま引いたものです。
工事費そのものは、5年で約29%上がっている
国土交通省は、建設工事にかかる費用が基準の年からどれだけ動いたかを建設工事費デフレーターという指数で毎月公表しています。この指数にはいくつもの系列があり、外壁塗装にいちばん近いのは新築の工事ではなく改修の工事を対象にした「建築補修」です。
| 年度・月(2020年度平均=100) | 建築補修 |
|---|---|
| 2020年度 | 100.0 |
| 2021年度 | 104.1 |
| 2022年度 | 111.3 |
| 2023年度 | 114.9 |
| 2024年度 | 119.8 |
| 2025年度 | 123.0 |
| 2026年8月(直近月) | 128.7 |
直近の2026年8月は128.7です。2020年度と同じ内容の工事を今行うと、工事費はおよそ1.29倍になる計算になります。これは全国・全体の動きを表す指数で、個々の工事の金額を示すものではありません。
同じ2026年8月の他の系列は建設総合 127.3、住宅総合 128.3、木造住宅W 128.0で、改修(建築補修)は新築を含む系列よりわずかに高く出ています。いちばん低い系列でも127.3(+27%)で、上がっているのは改修工事だけではありません。
材料費の上がり方は、品目によって差が大きい
日本銀行は、企業どうしが取引する物の価格を企業物価指数として毎月公表しています。外壁塗装で使う材料に関係する品目を並べると、上がり方は一様ではありません。いちばん下の行は、比べるための全品目の平均です。
| 品目(2020年平均=100) | 2020年 | 2022年 | 2024年 | 2025年 | 2026年9月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 塗料 | 100.0 | 109.8 | 118.1 | 119.7 | 138.6 |
| 合成樹脂塗料 | 100.0 | 107.7 | 118.3 | 119.7 | 131.6 |
| シンナー | 100.0 | 121.0 | 128.8 | 133.6 | 196.7 |
| 建設用金属製品 | 100.0 | 115.7 | 135.3 | 138.1 | 139.1 |
| 国内企業物価 総平均 | 100.0 | 114.9 | 122.8 | 126.8 | 135.7 |
塗料は138.6で、2020年から約39%上がっています。直前の2025年の平均は119.7だったので、この1年での動きが大きいことが分かります。
目を引くのはシンナーの196.7で、2020年からほぼ2倍です(2025年の平均は133.6)。シンナーは塗料を薄める希釈材で、下地の処理にも使います。材料費のうち、塗料そのものより付随する資材のほうが強く上がっている、という形です。
一方、足場などに使う建設用金属製品は139.1で、2025年の平均138.1をわずかに下回っています。すべての材料が上がり続けているわけではありません。
「いつ集計された相場表か」で、判断はこれだけずれる
相場表には、それがいつの工事を集計したものかがほとんど書かれていません。しかしここまでの公表値のとおり、2020年ごろを基準にすると工事費で約29%、塗料で約39%のずれが出ています。
たとえば「30坪でおよそ100万円」と書かれた相場表があったとして、その集計が2020年ごろのものなら、同じ工事の費用は指数のうえでは129万円前後に相当することになります。相場表の数字を今の見積書とそのまま比べると、妥当な見積もりを「高い」と判断してしまうことがあります。
逆に、相場表より大幅に安い見積書が出てきたときは、金額の安さより工事の範囲が同じかどうかを先に見てください。足場・高圧洗浄・下地補修・下塗り・中塗り・上塗り・付帯部の塗装・廃材処分のうち、どれかが含まれていないことがあります。
自分の家の金額は、見積もりでしか分からない
ここまでの指数は全国・全体の動きで、目の前の家の金額を出すものではありません。塗る面積・下地の傷み具合・足場の掛けやすさで工事の量が変わるため、同じ坪数でも金額は家ごとに違います。1社だけの見積書では、その金額が高いのか安いのかを判断する材料がありません。複数の業者から見積もりを取り、工事の範囲と数量が同じかどうかを見比べてください。見積書の内訳の読み方は地域別の外壁塗装ガイドにまとめています。
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費用を下げる前に、使える助成金があるか調べる
外壁の塗装は、自治体の住宅リフォーム補助の対象になっていることがあります。工事費そのものが上がっている以上、補助が出るかどうかは金額に直接効きます。当サイトでは全国の市区町村について、公式ページと交付要綱を1件ずつ開いて外壁の塗装・改修が対象になっているかを確認しました。
助成金は工事の契約前に申請するものがほとんどです。業者を決めてしまう前に、お住まいの自治体の窓口へ相談してください。
このページの数字の出どころ
- 国土交通省「建設工事費デフレーター」(2020年度平均=100・2026年8月まで)
- 日本銀行「企業物価指数(国内企業物価指数)」(2020年平均=100・2026年9月まで)
いずれも2026年11月2日時点で公表されている値を取得したものです。どちらの統計も毎月更新され、直近の月の値は後から改定されることがあります。最新の値は各出典でご確認ください。
当サイトは自治体・塗装業者の公式サイトではなく、公表されている情報をもとに第三者がまとめた情報サイトです。見積もり・工事は施工業者へ、助成金の申請は各自治体の担当窓口へお問い合わせください。